ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「でも、もっと凄いの見せてやるよ」

「すごいの?」

聞き返したあたしに、

「詠唱破棄だ」

ニッと悪戯っ子のような笑顔を見せた雅人は、次の瞬間真面目な顔で叫んだ。

「"火星よ 我が声を聞け 我に力を"!」

その瞬間赤い光が雅人を貫いた。

赤く燃えたぎるような炎を身に纏っている。

「詠唱破棄だったのに力を貸してくれて、本当にありがとうな」

雅人は優しい顔をしていた。


あぁ、きっとこういうところが。

何にでも一生懸命で真摯なところが。

美玲にも、魔法使いにも、星にも、好かれる理由なんだろうな。

あたしはそんなことを考えていた。


すると雅人は真っ直ぐ翔太を見据えて、

「由良、頼む!」

そう言った。

何も言わないけれど、雅人の考えていることは何となく分かった。

「オーケー!」

きっと、こういうことでしょう?


雅人は走り出した。

雅人が跳ぶタイミングに合わせて、

「"ジャンプ"!」

あたしは叫んだ。

その言葉と同時に、雅人はぽーんと飛び上がった。

まるでトランポリンを飛んでいるような軽さがあった。

雅人は空中で炎を操り剣のようなものを創り上げ、翔太に振りかざす。

「"アイス・スパイア"!」

翔太が叫んで氷でできた尖った柱のようなものを創り上げた。

どうだろう。雅人は勝てるかな。

でも翔太の魔法は強いから、もしかしたら……。

手伝った方がいいかも。

援護に回ろうと行動を起こそうとしたその時。

「由良の相手は私よ!」

嬉しそうな美玲の声がした。
< 120 / 170 >

この作品をシェア

pagetop