ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「"フローウィング"!」

美玲が叫ぶ。

それと同時に空気が流れだした。

この魔法はストップの魔法と逆の魔法。

これを使われたら、全てが動き出してしまう。

空中で停止していた岩も、少しずつどの高度を下げていく。

「"クラッシュ"!」

翔太の言葉で岩が空中でくだけた。

そのまま翔太の方へと砕けた岩がゆっくりと移動していく。

きっと、その岩が次は猛スピードであたしの方に飛んでくるんだろうけど。

「そんなこと、させないから!」

あたしは笑った。

翔太は呆気に取られたような顔をしていたけど、今は無視。

「"ウィンド"!」

風を呼び起こし、岩をあたしの方へと引き戻すと、

「"リーフ・ラップ"!」

砕けた岩を、一つひとつ葉っぱで包み込む。

「何をするつもりだ?」

翔太は首を傾げていた。

「まぁ、見てなって!」

あたしはニッと笑った。

「今送り返してあげるから」

そう言うとあたしは叫んだ。

「"ストロング・ウィンド"!」

強風を呼び起こした。

もちろんこれだけじゃ終わらない。

「"ヒート"!」

熱を帯びる風が、空気中に留まる葉に包まれた岩の欠片を翔太達の方へと運ぶ。

それも、凄いスピードで。

まるで、弾丸のように。

「これだけか? こんなの攻撃にもならない」

はぁ、と溜息をついた翔太。

確かに、そうだ。

だけど、

「それだけだと思わないでね?」

あたし達の攻撃は、これじゃ終わらない。
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