ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
でも、それでも時々感傷的になってしまうのは、あたしが弱いから。

あたしの心が、寂しいと、あの人に会いたいと、悲鳴をあげるから。


あの人に__好きな人に会えないのが、こんなにも辛いんだと実感する。


そして思い出してしまう。

翔太の笑顔を。


あぁ、まただ。

また、翔太に会いたいという気持ちがあたしの胸を苦しめる。


あ、翔太とは相変わらずですよ。

直接会うことはないのだけれど、メールや電話で週に2、3回くらいは生存確認はしています。

最後に会ったのは……うーんと……数ヶ月前、かな? よく覚えてないや。

そう考えると、全然会ってないんだなって思う。


そ、そりゃ、あたしだって、翔太に会いたいよ? 会いたくて、心臓を鷲掴みされたように心が痛い時だってあるけど。

だけど、立場が許してくれない。

それだけ会いたいのなら魔法使って会いに行けばいいのかもしれないけれど、思うほど簡単にはできないんだ。

あたしは"ガーネット"の隊員で、翔太も"サファイア"の当主で学生なわけでして。お互い本当に忙しいし。

だからね、会いたい、だなんて、そう簡単に言えないよ。


もし言ったら、翔太はきっと自分を責めると思うんだ。あたしに寂しい思いをさせていることを。そして、会いに行くこともできないということを。

翔太は、優しいから。

だから、あたしがそんなこと言ったら、きっと翔太を苦しめるだろうから、言わない。言えないよ。


もう、あの時みたいに…翔太には辛い思いなんてさせたくないから。

それに、胸できらめくこのネックレスのことを考えれば、もうなんだって乗り越えられる、よね?

そう思いながら胸元のネックレスを握る。


このネックレスは…翔太がくれた、あたしの宝物。

これがあれば、あたしは無敵になれる。

一人じゃないって思えるから。


あ、そういえば、今日は"ガーネット"と"サファイア"の当主会合があり、"サファイア"の当主である翔太が、我らが"ガーネット"本部の特別応接室に来るらしい。

そう言った千沙さんがいつも以上にニコニコしていたから間違いない。

うん、きっとあたしの反応を見て楽しんでいるのだろう。
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