ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
物陰から姿を現し、杖を振り上げる。

ヒュドラ、即ちそれは海蛇。

つまりは水属性の魔物。

だから、効果のある攻撃魔法は、


「"サンダー"!」

雷系統だよね。


ギャアア、と不快な叫び声が聞こえる。

思った通り、雷は効果抜群のようだ。

しかし、だからと言って油断はできない。

「おっと」

1体のヒュドラの口から毒の混ざった唾液が放出される。

九つの首全てから発射されるそれはまるで弾丸のよう。


弾丸、か…

それならこっちだって!


飛んでくる猛毒の液体をさらりと交わして、あたしも反撃。

やられてばかりじゃいられない。

あたしにだって、やらなくちゃいけないことがあるんだもん。

それに、やられてばかりだなんて、あたしらしくない。そうでしょう?


「"エレクトリック・ショット"!」

魔力で創った電気の塊を迷わずヒュドラめがけて飛ばしていく。

弾丸のようなエネルギーの塊はヒュドラ達に見事命中し、あたりに叫び声がこだまする。

そして、ドゴン、と重たいものが落下したような鈍い音がして、辺りは砂埃(すなぼこり)で覆われる。

そこからは何も音がしない。

どうやら決着はついたようだ。


「…ごめんなさい。でも、こうするしか方法がなかったの。ごめんなさい」

全てはあたしの弱さが原因だ。

あたしが弱いから。

もっとあたしに力があれば失わずに済んだ命。


許して、なんておこがましくて言えないけれど、せめて謝罪の言葉を。

そして、祈る。

どうか、光の道に戻ることを。
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