ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
しかし、のんびりしている暇はない。

ここは既に国内屈指のリゾート地帯などではなく、もはや戦場と化しているのだから。

戦場では感傷に浸っている暇は与えられなどしない。

さもなくば、

「"シールド"!」

こちらが殺されてしまうのだから。


咄嗟に展開したシールドのお陰で間一髪、なんとか2体のヒュドラによる攻撃を防ぐことができた。

飛んできたのはヒュドラの水鉄砲。シールドですら浸食する猛毒を含んだ水だ。


シールドはまるで氷のように、見る見るうちに溶けていく。

もしシールドを展開できていなかったのかと思うと背筋が寒くなる。


次は2体相手。即ち首の数は18。

しかしこの2体を倒したところで、あと残り2体残っている。さっき、1体しか倒せなかったから。

あはは、キツイね。さて、どうしたらいいかな。

なんて、考えていると、次の瞬間、ヒュドラの口が明るく光った。


何かくる、本能的に悟った。

そして口から放出されたのは、凄まじい勢いの水鉄砲だった。

ダムから水を放出するような、凄く大きな滝であるかのような、そんな勢いだ。

思わず圧倒されそうになるのだけど、何とか自分を奮い立たせる。

あたしは怖がる必要なんてない。

あたしにはちゃんと帰る場所がある。

守るべき場所がある。

あたしは一人じゃない。

そうでしょう?

「"ファイア"!」

炎を出現させる。


この水の勢いを止めることは、もう今となれば不可能なこと。ならば、炎の熱で蒸発させてしまうしか方法がない。

「"バーニング"!」

追加の呪文を唱えて、火の勢いを強める。そうしなければ、火が消えてこちらがやられてしまう。

勢いのある水は、固い金属さえも分断してしまうのだから。
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