ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
心臓がドコドコと嫌な音をたてる。


あたしはギュッと目を瞑った。

そして心臓に手を当てる。


何を怖がっているの。

何を恐れているの。


落ち着け、あたし。

大丈夫。大丈夫だよ。


思い出してみて。

あたしはあんなにキツイ修行にも耐え抜いてきたじゃない。

あんなに努力してきたじゃない。

それは、こうして誰かを守るため。そうでしょう?

そのための力でしょう?


あたしには守るべき場所がある。

あたしには帰るべき場所がある。

あたしを待ってくれている人がいる。


恐れることなど、何もない。


そんなことを必死で考えていた脳にあの笑顔が過った。

私に元気を与えてくれる存在。

誰よりも私を支えてくれる存在。

私の、陽だまり。

ううん、陽だまりよりももっと強く、もっと優しく、あたしに光を与えてくれる。

まるで、そう、太陽のように。


ふ、と笑みが零れる。

呆れにも似た笑みだ。


あぁ、どこまで、私は翔太が好きなんだろう。

何だか中毒症状にも似ているような気がする。

日に日に"好き"という感情が大きくなっているのは分かっているけれど、思っていたよりもずっと、あたしは翔太にハマっているみたい。

我ながら阿呆だなと思うよ。

仕事しているときですら、こんなピンチのときですら、翔太のことを考えてしまうのだから。

否、むしろピンチだからこそ、思うのかもしれない。
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