ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
まさか。まさかまさか。

恐る恐る見てみると、言葉を失った。

あたしは自分の足を、動かない足を、ヒュドラの猛毒が混入している水溜りの中に突っ込んでいた。

体中から変な汗がでてきて止まらない。

鼓動も速くなる。


「…だ、大丈夫…」


自分自身を安心させるように声を絞り出す。

そうだよ、大丈夫。

身体中にかけたシールドの魔法のおかげで、ある一定の毒なら防げる。

これくらいなら、大丈夫なはず。

多分、焼けるような感覚がしたのは、あの毒でシールドが溶けたからだろう。

だから、多分、あたしの足が毒で溶けたというわけではない。

だから、大丈夫。

あたしは毒に侵されているわけではない。

まだ、死なない。


そう言い聞かせながら毒の水溜りから何とか足を引き抜いた。

そして杖をヒュドラ達の方に向けたまま、2,3回深呼吸を繰り返して平常心を取り戻す。

落ち着けあたし。大丈夫だから、ね。


そしてこちらに向かってきたヒュドラに向けて、

「"ファイア"!」

攻撃開始。

本来なら雷系統だけれど、そればかりに拘ってなんていられない。得意な魔法で攻めることにした。

見事攻撃は成功して、一体のヒュドラに火が付いた。読んで時の如く、本当に燃えている。

「"バーニング"!」

更に力を強める。

これでこのヒュドラは、終わりだ。この炎は破れない。例え水系統の最強の魔物、ヒュドラであったとしても。

さ、次は…







「っがっ!」




衝撃が体中を走った。
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