ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
泣くのも一通り収まると、急に恥ずかしさがあたしを襲った。

きっと今のあたしの顔、涙でぐちゃぐちゃになってるはず。

そんな顔を翔太に見られているなんて。

あぁ、穴があったら入りたい。隠れたい。


「もうひとつ」


そう言いながら翔太は先程の戦闘で痛み、至る所に砂がついたスーツの内ポケットから何かを取り出して右手で握った。


「なに? それ」


あたしが翔太の右手を指差して尋ねても、翔太は何も言わない。

不思議に思っていると、翔太は右足を立てて跪いた。

握られていた右手が開かれた。


「これから先もずっと、お前を独りにしない。何があっても、何を犠牲にしても必ずそばにいる。必ず幸せにすると約束するよ」


右手にあったもの、それは。


「俺と結婚してください」


幸せを含んでキラキラ輝く、指輪。

銀の細いリングに一つだけついている、まるで翔太の瞳のような空色の宝石は、どんな宝石よりも暖かくて優しく見えた。



あたしの心はもう、容量を越えようとしていた。

胸が苦しい。

だってもう、幸せすぎる。


「はい」


決断に迷いはなかった。

だって、今までも、これからも、翔太と一緒にいられるのなら、あたしはそれだけで幸せなんだ。

翔太がいなくなったらきっと、あたしは狂ってしまう。

安定した心でなんていられない。

きっと抜け殻みたいな状態になっちゃうよ。
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