ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「…えーっと?」

七星は逃げるように北斗の方を見た。

「由良姐、知らなくていい」

北斗は、少し残念そうで、でも嬉しくて、安心したような、そんな複雑な笑みを浮かべた。

儚さが漂うその姿は、本当に、絵画と錯覚しそうなほど美しかった。

北斗が何を話していたのか知りたい気持ちもあるけれど、北斗が知らなくていいと言うなら、それでいい。

あたしが知らない方が、きっと北斗が喜んでくれる。

「そっか」

あたしが微笑むと、雅人と七星は苦笑いした。

「…本当に由良って」

「…天然ね」

どうしたんだろうと不思議に思って見ていると、由良姐、と呼ぶ北斗の声が聞こえた。

「僕たち、絶対、行く」

あのね、とあたしは話しかけた。

「気持ちは嬉しいよ。でもね、行くのはやめてほしいっていうのが本音だな」

こんな若いのに、危険な目になんて合わせたくはない。

それに彼等は"ガーネット"の隊員である前に、雅人と美玲の大切な子供達だから。

「…僕達、弱いから?」

「え?」

「僕達、弱いから、行かせたくない? 心配になる?」

「そ、そんなことはないよ!」

むしろ強すぎるくらいなのに。

雅人と美玲の血を引く彼らは、親譲りの強く大きな魔力を有していて、戦闘センスだって並みじゃない。

七星は美玲の形質を多く引き継いでいて、星使いではないけれど、その美しさは群を抜いている。

まるで美玲が高校生だった頃のように美しいんだ。

けれどポニーテールのその髪だけは、父親譲りのオレンジがかったキャラメル色なんだけど。

北斗も七星、雅人と同じ髪色なんだ。ただ、双子とはいえ、七星とは違い、北斗は癖毛なんだけどね。

北斗は雅人の形質を多く引き継ぎ、星使いの力も引き継いだ。

半血の星使いは純血の星使いに劣ると言われている。しかし北斗は純血の星使いではないものの、彼は強い。

星使いの中でも、雅人に次いで強いらしい。いつか雅人が誇らしそうにそう語っていた。

おまけに2人は息の合った攻撃をする。

この2人ほど強いペアを、あたしは知らない。
< 167 / 170 >

この作品をシェア

pagetop