ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
は…?

え、っと、ちょっと待とうか由良さん。

え?今なんて?今何、楓花さんって言った?よな?俺の聴力が可笑しいわけじゃないんだよな?

楓花さん、って…俺の姉のことだよな?それ以外ないよな?


「何、言ってんだ…?」

しかし目の前には

「そんなの、こっちのセリフなんですけど」

彼女いるの、あたし知ってんだからね!?浮気相手は御免なんだから、と暴走している由良。


いや、まさかだよな、そんなの、いくらあの超絶的な鈍感娘の由良でも知ってるはずだよな…?


「…お前…あいつのフルネーム、分かるか?」

念のため、聞いてみた。いや、姉さんとは面識もあるどころか友達みたいなので、知らないわけがないと思う、いや思いたいのだが…

しかし由良は首を傾げた。何の事だかさっぱり、と丁寧に顔に書いてある。


「…そうだよな。お前のことだもんな。だと思った。知ってるわけがないな」


知っていると思った俺が間違っていた。

俺は無意識に溜息が出た。その勢いに魂まで飛び出すかと思うほどだった。


「そこまで言わなくても良くない?」

由良は何やら言い返しているらしい。


とりあえず俺は事実を告げることにした。


「あいつのフルネームは柏木楓花。俺の実の姉だ」

「は?」

いやいや、そういう冗談はやめようか、と由良は俺の言葉を信じていないようだ。

「だって、婚約だって…」

「まず婚約なんかしてないし、その前に俺たちは兄弟だっつーの」


はぁ、と盛大な溜息をついた。

なんで、こいつの頭の中では俺と姉さんが婚約したことになってんだよ?
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