ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「だいじょうぶ?」

女の子のような声。

でも聞いたことのない声で、誰なのかは分からない。


「だ、れ…?」

俺は体を起こそうとするけれど、痛みで顔が歪んでしまった。

それを見た女の子は叫んだ。


「あ!ダメだよ!むりしちゃだめ!起き上がらないで!」

「わ、わかった…」


その声に圧倒されて、俺はその言葉に従った。


女の子はしばらく俺を観察すると、

「ケガしてる…ひどい…」

口元を抑えて言った。


「…せんせー、呼んできて…?」


すると女の子は俺が予想だにしなかったことを言った。


「あたしが治してあげる!」

「え…?」


耳を疑った。

だって、幼稚園児だよ?幼稚園児なんだよ?

幼稚園児が、怪我を治せるわけ…


女の子の方を見ると、その子はすでに救急箱を持っていた。


「それ…何?」

「救急箱」

「いや、そうじゃなくて」

なんでそれ持ってるの?

いつもって来たの?

どうやって持って来たの?


疑問が頭をめぐる。
< 35 / 170 >

この作品をシェア

pagetop