ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「"彼の者の傷を、我が魔力を持って癒せ

ヒーリング"」


杖の先から温かい光が溢れ出てくる。

俺は思わず腕で目を覆った。


光が消え、見てみると、辺りは何も変わりがなかった。

さっきの光は何…?


「え、っと。さっきと何も変わってな…」


そう言いながら俺は女の子の方に歩いていた。

歩いて、いた。


その事実に驚く。


さっきまで歩けなかったのに。

怪我の治療をしてくれたけど、辛うじて立てるだけで、歩けるまでは回復していなかったのに。

どう、して…?


驚いて言葉を失っている俺に、

「ね、治ったでしょ?かんぺきじゃないけれど、歩けるようになったでしょ?」


そう言ってふわりと笑った。


「ありがとう。でもそんな魔法を使えるなんて…」

「おどろいた?怖いと思った?こんなふつうじゃないあたしのこと」


女の子はそう言った。顔をこわばらせていた。



あぁ、一緒なんだ。

俺とこの子、一緒なんだ。


人と違うことが怖くて、人と違うと思われることが怖くて。

怯えているんだ。


そう思ったら、俺は無意識のうちに目の前にいる女の子の両手を握っていた。
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