ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「…とまあ、こんな感じ。
その後俺が星使いだということを皆が知って、それに伴っていじめも終わったけどな」
するとすっかり話に聞き入れていた翔太が真剣な顔をしていた。
「お前も大変なんだな。全然余裕そうに生きているのに…」
「いや、お前なんか俺の比じゃねーだろ。お前の方が辛いだろ、今も…」
こいつは両親とお祖母さんを亡くして、お兄さんとは離別していて、肉親はお姉さんのみ。
そして今やこの若さであの魔物退治屋"サファイア"の当主だ。
辛いのは、こいつの方だろう。
「いや、その話じゃねーよ」
はっきり言い切る翔太。そう言うところは友として好きだけれど
「は?どういうこと?」
「それは…」
そこまで言いかけた翔太は何に気づいたのかハッと口をつぐんだ。
「え、いきなりどうしたんだよ?しょう…」
そこまで言って、俺も悟った。
翔太の視線の先。
俺の背後。
そこから感じる、邪悪な、気配…
「…ま~さ~と~?」
「みっ美玲っ!」
やば、すっかり忘れていた。
今日は一緒に帰ることにしていたんだった。
それなのに、俺は翔太とすっかり話し込んでしまった。
時計を見ると、30分が過ぎていた。
こりゃ、怒るはずだ。