ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「ハー、これだから自覚なしは困るんだ」

わけわからないことを呟くと、翔太はあたしの耳元で囁いた。


「手繋ぐことくらい慣れろよな？今までだって抱き付いたりキスしたりしたろ？」


少し掠れているその声があまりにも妖艶で、あたしを悩殺するには充分すぎた。

一気に熱が顔に集まり、その熱で血液が沸騰してしまうんじゃないかと思うほどだった。きっと体温計で測ったら39度はあっただろう。

ちょっと待とうか翔太さん。あ、甘い、甘すぎる。何それ、反則すぎるでしょ！

だってそりゃ抱きつかれたとかキスされたとか、それはそうだけどそのあの何て言うかそのあのえっとえっと、だってほらそれはあのえっと何て言うかそのえっと、ねぇ！


「結局何が言いたいんだかまるで分からないんだが」

動揺して混乱して、もう何がなんだか分からなくなりそうなくらい顔に熱を持っているあたしをからかうかのように、ニッと笑った翔太。

その笑みに負けたような気がした。何がとも言えないんだけど、確実に何かで負けた。敗北感が広がる。

いつもそうだ。こういうことに関しては翔太には勝てないんだよ！悔しい！

テストや魔力では勝てるのに！


「ほらそこ、イチャつくなー！俺の存在忘れるなー！」

雅人が十数メートル先から手を振っていた。


ちょっと待って、これはイチャついていない。

これはただ


「翔太にからかわれているだけだー！」


雅人に聞こえるように叫んだ。

ここがあの魔法薬屋海音寺グループの邸宅で、親友の美玲の家だろうが何だろうが今は関係ない。
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