ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「ら…ゆら…由良!」
「へっ!?ごめん!何?」
「何?じゃないでしょう?ぼーっとしちゃって大丈夫?」
美玲に心配かけてしまった。ダメだな、あたし。アハハと笑って誤魔化す。
「ごめん、昨日寝れてなくて…」
ごめん、嘘ついて。
昨日はぐっすり寝てたよ。魔物退治したから、疲れてたもん。
だけどね、許して…?
今ここで泣きたくはないの。
溢れそうになる涙をぐっとこらえる。
駄目だよ、ここで泣いたら、駄目だよ。
そう言い聞かせた。
「ごめん、それで何だったっけ?」
笑おうと努力する。こんなのを美玲の前でもしなければならない日がくるなんて…
「倉庫から魔法薬の類を取ってきてもらおうかと思ったの。由良はこの中で一番魔法薬の扱いになれていると思ったから。だけど、疲れているようなら代わりに誰か取りに行ってもらった方がいい?」
「大丈夫だよ。あたしが取りに行く。何を取ってくればいい?」
「取ってきてほしいものは、この紙に書いてあるけど…本当に大丈夫?翔太とでも一緒に取りに行く?」
本気で心配してくれているらしい。
でもね、
「大丈夫だよ、ひとりで行けるから!」
翔太と行くのだけは、駄目。
泣いてしまう。絶対に、泣いてしまうから…
「そう…?」
「うん!じゃあ行ってくるね!」
「待って、地図渡しておくから!」
「あ、ありがとう!」
これで、迷子にならずに済みそうだね!
そしてできるだけの笑顔で皆に手を振った。
涙は、流れなかった。