ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「…やっと、見つけた…」

ようやく口を開いた翔太の言葉は、意味不明だった。

「翔太...?」

何を見つけたんだろう。薬草?倉庫?何の話?

「またなくしたかと思った。良かった、無事で…」

安堵しているようだ。


ん…?無事…?それって、あたしを見つけたってこと…?

って、いやいや、あたしのことが嫌いなんだったら探さなくたっていいんじゃないの?見つけなくたっていいんじゃないの?

疑問は生まれるばかり。


「…離してよ」

辛くなるじゃない。

別れないといけないのに、別れられなくなるじゃない。

やっと見つけた、なんてそんなこと言われたら、まだ翔太はあたしのことが好きなのかなって期待しちゃうじゃない。


大体、あたしのことが嫌いなのに、どうしてこんなにも強く抱きしめるの?


「やだ」

やだ、じゃないでしょ。何それ子供みたい。

「離して」

さっきよりも強い口調で言った。

「嫌だ。離さない」

「どうして…」

しかし次の瞬間耳に届いたのは、

「好きだから」

「嘘…」

嬉しいはずなのに、夢じゃないかなって信用できなくて、口から出てしまった、天邪鬼で邪な感情。

「嘘じゃないし、夢でもない」

「だって…」

そんなの、ありえないじゃない…
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