ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「こっち。左に曲がるぞ」

「え?右じゃないの?」


あたしは右を指差した。

確か、サファイアと戦った時は、この玄関から入ったような気がしたんだけど…


「あっち?あっちは"サファイア"の裏口だぞ?お前が来たことがあるのは、ここ、"サファイア"の正面玄関のはずだ。

で、俺達が行くのは、柏木家の正面玄関」


「え!?」

あっちじゃなかったっけ!?えー、記憶力の低迷?嫌だなー、まだ十代なのに!

混乱しているあたしを、奴が笑った。

「方向音痴は相変わらずだな、由良。本当に馬鹿だな」

「馬鹿じゃないもん!」

直ぐに反論する。

あたしだって一応これでも国立大魔法大学出身なんだから、決して馬鹿ではないもん!

テストだって、翔太には負けたことなんてなかったもん!


「そういうことじゃねーよ」

「じゃ、どういうこと?」

「勉強じゃなくて、生活する上で馬鹿だってこと」

「むかつく!」


そこまで言う?

滅多に会えない彼女に向かって、そんなこと言う?!


もう、信じられない!

いいもん、翔太なんか、もういいもん!


「いや、だから、どこ行く気だ?」

「柏木家の正面玄関でしょ!」

って言ってたのは翔太じゃない!


「だから、左に行くんだって」

「こっちが左でしょ!」


ムキになって言ってみるけど、すぐに気づいた。
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