ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
「箱、開けてみな」

あたしは箱をそっと開けた。


「……え…?」

言葉が、出なかった。


箱の中には、シルバーのオープンハートのネックレスがあった。

ハートの左と右で大きさが違うようで、右の方がやや小さめだ。

ハートの右上の方には、小さめの赤いガーネットの石がいくつかついている。

とても可愛く、そして大人っぽいデザインのもの。


「え、と、しょうた…?」

ギギギ…と首を回し尋ねる。


「気にいったか?俺からの誕生日プレゼント。


由良、誕生日おめでとう」


フワッと微笑んだ翔太が、景色が、滲んでいく。


なぜだろう、と思ったのは一瞬だけで、その原因は直ぐに分かった。

涙がぽたりと落ちて、ワンピースにシミを作る。

涙がポロポロ溢れて止まらなかった。



「由良!?」

翔太は混乱していた。

あたしがいきなり泣き出したからだろう。

つまるところ、翔太は優しすぎるんだ。

優しすぎるから、


「…嫌だった?」


こんな風に、いらない心配をするんだ。


あたしは首を横に振った。


嫌なんかじゃない。

嫌なわけがないよ…
< 78 / 170 >

この作品をシェア

pagetop