ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】
走って、走って、走る。
渡り廊下を幾つか渡って、階段も駆け上る。その間すれ違う人から不思議そうな顔を向けられたが、一々気にしてなんていられない。
向かう先なんて知らないけれど、どうやら、目指しているのは屋上らしい。
階段を駆け上がると、案の定行き止まりだった。屋上へと続く扉はかぎがかかっており、頑丈な南京錠で封鎖されている。かなり強力なシールドか何かの魔法が施されている。
だけど、南京錠だろうがシールドだろうが、このあたしにそんなものなど関係ない。
ポケットから愛用の杖を取り出すと同時に振り下げた。
「"ブレイク"!」
金属音と共に、シールドの破片ごと南京錠が廊下に落ちる。
ブレイクという魔法は、幼稚園児だって使えるほどの簡単な魔法。だけど、大きな魔力を持つ者が使えば、それなりに効果はある。
由良や翔太が使えば、きっと巨大な山でさえ壊せるでしょうね。
扉を開けると、そこに広がるのは、外の世界。
ただ
生憎の雨。
そう言えば今日は雨が降るって天気予報で言っていたっけ。
あたしは雨の中へと足を進める。
ぽつ、ぽつと冷たい雨粒が、あたしの服を、髪を、肌を、濡らしていく。
けれどそんなものは気に留めない。否、留まらない。
生憎の雨だと思ったけれど、でも、そうでもないかもしれない。
雨が降ってくれているのならば、例えあたしが涙を流していても、
「誤魔化して、くれるわね…」
言葉とともに頬を伝った雫は、雨か涙か。
渡り廊下を幾つか渡って、階段も駆け上る。その間すれ違う人から不思議そうな顔を向けられたが、一々気にしてなんていられない。
向かう先なんて知らないけれど、どうやら、目指しているのは屋上らしい。
階段を駆け上がると、案の定行き止まりだった。屋上へと続く扉はかぎがかかっており、頑丈な南京錠で封鎖されている。かなり強力なシールドか何かの魔法が施されている。
だけど、南京錠だろうがシールドだろうが、このあたしにそんなものなど関係ない。
ポケットから愛用の杖を取り出すと同時に振り下げた。
「"ブレイク"!」
金属音と共に、シールドの破片ごと南京錠が廊下に落ちる。
ブレイクという魔法は、幼稚園児だって使えるほどの簡単な魔法。だけど、大きな魔力を持つ者が使えば、それなりに効果はある。
由良や翔太が使えば、きっと巨大な山でさえ壊せるでしょうね。
扉を開けると、そこに広がるのは、外の世界。
ただ
生憎の雨。
そう言えば今日は雨が降るって天気予報で言っていたっけ。
あたしは雨の中へと足を進める。
ぽつ、ぽつと冷たい雨粒が、あたしの服を、髪を、肌を、濡らしていく。
けれどそんなものは気に留めない。否、留まらない。
生憎の雨だと思ったけれど、でも、そうでもないかもしれない。
雨が降ってくれているのならば、例えあたしが涙を流していても、
「誤魔化して、くれるわね…」
言葉とともに頬を伝った雫は、雨か涙か。