最愛 ーサイアイー
「先輩……着信音が初期設定ってどういうことですか?」
佐川に更に呆れた顔をされる。
「面倒臭ぇから、美幸以外は初期設定から着信音を変えてねぇんだよ。」
「相変わらずの溺愛っぷりですね。」
佐川の刺さるような視線を無視して、携帯に手をかける。
「……橋本?」
橋本は、もう既に入籍して名字は変わっている。
でも俺は変わらず旧姓で呼んでいる。
「はいーーもしもし?」
『優也くん?!』
出た途端に慌てた声が聞こえた。
「なんだよ…」
『美幸がっ!……とりあえず駅前のカフェに来て!』
「美幸……?」