最愛 ーサイアイー



俺は、今度こそ美幸に笑いかける。



そして、美幸の体を持ち上げた。




「や、やっぱり恥ずかしいから下りる。」



「だめ。」




美幸は体に力を入れたくないのか、それ以上抵抗はしなかった。



店を出るとき、橋本に声をかけられた。




「はい、ミネラルウォーター。店員さんが気遣って持ってきてくれた。」



「サンキュー。」



「あと……」



「わかってる。」




橋本は俺を真剣な瞳で見つめた。



きっと、俺に「美幸をちゃんと守れ!」とでも言いたかったのだろう。




「……うん。その顔なら大丈夫そうだね。」





< 40 / 85 >

この作品をシェア

pagetop