最愛 ーサイアイー
本当の幸せを願う
「おめでとう」 side瑠衣
リーンゴーン……リーンゴーン…
海の見える教会が、祝福の鐘を鳴らしている。
「美幸、おめでとう!」
「優也も結婚かー…!」
多くの人からの祝福の真ん中。
照れたように笑う美幸と優也の姿があった。
その姿が愛おしく、幸せを願うのと同時に
どうしようもない胸の痛みに襲われる。
ーー美幸の隣に立ちたかった。
俺の切ない心が、まだそれを求めている。
素直に喜べない自分が憎い。
『おめでとう』
そう声をかけても、もう美幸は反応しない。
ーーいつしか、俺の声は届かなくなっていたんだ。