最愛 ーサイアイー
ガチャ
目の前の扉が開き、視界が広がった。
パチパチ……
多くの拍手の中に、一歩を踏み出した。
横を歩くのは、優也の義理のお父さん。
父親がいない私に、自分から申し出てくれた。
初めて会った時から、本当に優しい人で、
血の繋がりがない息子の彼女なのに、本当の娘のように扱ってくれた。
「美幸ちゃん、綺麗だよ。」
「ありがとうございます。」
そんな人に褒められるのは嬉しくて、少し恥ずかしい。
一歩一歩、踏み出しながら、近づくあの人との距離。
ドキドキして、嬉しくて。
目頭が熱くなってきた。