最愛 ーサイアイー
瑠衣は美幸を待たずに、霊安室へと運ばれた。
もう二度と、俺たちは会えないらしい。
「君は優也くんかい?」
俺が瑠衣が消えてしまった方向を眺めていると、瑠衣のお兄さんに声をかけられた。
「そうっすけど。」
「そっか。君が噂のライバルくんだね?
なかなかの強敵じゃないか。」
無理に笑おうとするそいつを、俺は止めなかった。
「瑠衣は言ってたよ。『優也はいいやつだ』って。
美幸ちゃんのことで何があったかは知らないけど、あいつは君を認めていた。」
その人が悲しそうに笑うから、俺の心には余計に響いた。
「そうですか……。
俺も、瑠衣のことは好きでした……」
そういうことだけで精一杯だった。
やっぱり、お前じゃないとダメだ。
美幸のそばにいるべきなのは、お前だ。
今更、素直になったって遅ぇことはわかっている。
それでも、伝えようと呟いた。