最愛 ーサイアイー



霊安室に運ばれて行く、瑠衣を見守る。




最期に美幸は起きていなかった。



でも、それでいい。



あいつの涙は、誰も望んでいないから。





そして、


瑠衣はいなくなった。






「すいません。」



泣きはらした橋本と一緒に、俺は近くの看護師に声をかけた。



「相川美幸の病室はどこっすか?
一緒に運ばれたと思うんですけど。」




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コツコツ……



すっかり暗くなった病院を俺たちは歩いた。



本来なら、見舞いの時間はとうに終わっている。



けど、無理を言って今夜だけは美幸のそばにいさせてもらえた。




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