最愛 ーサイアイー
橋本の悲痛な訴えは俺の良心をちいさくする。
わかっていた。
俺があいつの…美幸の不幸欠片であることくらい。
痛ぇな………。
心が痛すぎる。
あのとき、俺が無理矢理でも日本にいれば………
いや、そんなことは不可能なんだ。
今更、何を後悔したって遅ぇ。
美幸が生きている。
無い物を悔やむまえに、残ったものに感謝すべきなんだろう。
ーーそれが簡単に出来たら、誰も苦労しねぇんだけどな。
結局、みんな一緒だ。
過去を振り返りたくなくても、未来だけを見ていたくても……
そんなこと、できるはずがない。
過去があって “今” ができてるんだから。