最愛 ーサイアイー
ピーンポーンパーン
『最終下校時刻だ。校舎内にいる生徒は今すぐ下校するように。』
放送の声に、ぼーっとしていた意識が戻ってくる。
「あ、あの名前教えてくれますか?」
「いいよ。俺は、吉田優也。
今度からは気を付けろよ。」
吉田くんは、私の頭をポンと叩いて笑った。
そして、先に階段を降りて行った。
なぜか、その行動にドキッとして……
無愛想だな、なんて悪い印象は無くなってしまった。
遠くなる彼の背中を見つめる。
「吉田 優也……くん」
ーーーーー……これが、私と彼の出会いでした。