最愛 ーサイアイー
「俺に嘘はつけねぇよ」 side瑠衣
「ごめーん!お待たせしました。」
美幸が昇降口に現れ、寄りかかっていた壁から背中を離す。
慌てて靴を履く、異常にテンションの高い美幸。
朝から、そうだった。
なにかおかしいと、気付いていた。
確かに、明るく生きてる美幸だけど、今日は無理矢理明るくしようとしているみたいだ。
俺が気付かないわけがねぇのに。
美幸は相変わらず、嘘が上手くない。
「ほら、行くぞ。」
「あー、待ってよ!」
無邪気に笑みを作る美幸。
だけど、やっぱり無理をしている。
「瑠衣、今日は友達に誘われてたんじゃないの?」