先生×私~隣の部屋の王子様~


どれくらい走ったんだろ。

周りには木がいっぱいある。


……完全に迷子だ…………。


どっちから来たんだっけ……。
早く戻らなきゃ。


涙で景色が滲んでみえる。



ガサガサ))


?!
な、なに?


ガサガサ))


「い、いや……」

クマとかだったらどうしよう。
ってか、でるって先生言ってたし……。

怖い、怖いよぉ……

先生……


「先生助けて!」


叫んだ直後だった。


「大丈夫か?菜月?!」

目の前にいたのは……




貴くんだった。



「た、たか……くん……。」

「ばか!」

「へ?」

「一人で勝手に走ってくなアホ!
どれだけ心配したと思ってんだよっ!」

「……えっ……?」

「さっき、肝試しから戻ってみたら先生がめっちゃ焦って戻ってきて。
朝日が走って林の方に行ったから一緒に捜してくれって頼まれたんだよ。
部員の男子と先生でお前を必死に捜してんだよ!」


「ご、ごめんなさい……。」

「ほら、立って……とりあえず……合宿所戻るぞ。」

「う、うん。」

途中貴くんは先生やらみんなに電話をかけてくれてた。

あいにく私のいた場所は圏外だったみたいで誰の電話もかかってこなかった。


宿舎に帰ると晴が泣いて抱きついてきた。

「もぅ!菜月のバカァ!
心配したんだからぁ……こ、怖かったよぉ……(泣)」

「ごめん……晴……
本当に……みんな……ごめんなさい!」

部員のみんなは
大丈夫だよ。
と言って許してくれた。


「先生……ごめんなさい……。」

先生は額に汗を浮かべてホッと胸をなでおろした。

「ホント焦った……
急に走り出すなよ。」

「……ごめんなさい……」

「部員のみんなは部屋に帰って、朝日と話すから。」

「「はい。」」

ゾロゾロとみんな帰っていく。

2人きりになった。


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