胸キュンっ♡
『久しぶりじゃない?
龍哉があたしの部屋来るの』
「小4の時にお前が鍵付けて出禁したからな」
龍哉がどかっと椅子に座って嫌味ったらしく横目で睨め付けてくる。むかつく。
『それ、あんたが勝手に他人の部屋漁るからだからね?』
呆れて龍哉を見やると視線から逃げるように椅子ごとぐるっと部屋を見回した。
「へーぇ、果穂っぽくていいな。」
あたしっぽいか。
そんなに広くない部屋に、家具は勉強机とラック、本棚くらい。
でもネックレスやリュックを壁にかけたりちょっとずつ工夫を凝らしたこの部屋は、実は結構気に入っている。
「あ、なにこれ。」
しまった。隠しておけばよかった。
龍哉が手に取ったのは扉状の置き時計で、開くと左側は写真たて。
友達と撮ったプリクラが貼ってある。
一応でも彼氏に見られるのはちょっと恥ずかしい代物だ。
というかこんなの作ってるってこと自体が恥ずかしい。
…なおも龍哉はじっとプリクラを見ている。なんか焦る。
『なにみてんの。早く返してよ』
イライラとしてみせて、返せ、と手で催促する。
「………猫耳だ…」
『はあ?』
なに、よく聞こえない、と龍哉のほうに耳を傾けた。
「…!あ、いや、なんでもないっ!」
『明らかに怪しいわ。』
ぐいっと時計を覗き込むと、笑ったりキメ顔だったりいろんな表情の友達がいた。
『あんたなんかにこんなかわいい女の子の写真、見せちゃいけなかったわ。』
「なにお前自分で自分のことかわいいとか言ってんの」
龍哉はもういつもの調子に戻って、はっと笑った。…あれ。
『……あたしが言ったの瑠璃たちのことだけど。』
それ、龍哉は私を見てたってこと…?
いらないとこまで頭が回った所為で
一瞬鼓動が高鳴った。