“ALICE"
うさ耳の男は面倒くさそうにその場に立ち上がる。
「アリスは…女王様によって、封印されてしまったんだ」
「え?」
これはさっきの答えだろうか。
でもどうして女王様はアリスを…?
うさ耳の男は用が済んだのか、早歩きでこの場を去ろうとしていた。
「ま、待って!ウサギさん!」
「ウサギさん?」
ピタリと止まったうさ耳の男は、呆れたような顔でこっちに振り向いた。
「なに、そのアホみたいな呼び方…。まぁいいけど」
うさ耳の男は懐中時計で時間を確認し、私の方を見た。
「なに?あまり時間がないから、用件を早く」
「あ…えっと…」
思わず引き止めてしまったけど、特に用件はなかった。
だけど、それでは相手に悪いし…