“ALICE"
「なーんて、嘘だよ。だからそんな怖い顔しないでよ」
そりゃ睨みたくなるよ。
こっちは真剣なのに…!
「俺はグレイ。見ての通り帽子屋だ。まぁよくこの近くでお茶会を開くことが多い」
あ、帽子屋なんだ…
だから帽子を被ってるとか?
…でも、見た目は黒ずくめだから、すごく怪しい気はするけど。
「さて、話を戻そうか。女王の話に」
さっきまでへらへらしていた帽子男…グレイは女王の話になった瞬間、真剣な顔つきになり緊張が走る。
「女王はね、この国の支配者なんだ。機嫌を損ねたりすると、すぐに首が飛ぶよ」
「…それは、つまり…」
「死刑。って言ったらわかるだろう?その役がさっきの青年。…まぁ女王の犬だよ」
死刑…
じゃさっきの男が殺されたのは、女王の機嫌を損ねたから…?
「もちろん、気に入らない奴もね。だからみんな女王に忠実なんだ。さっきの男だって、誰も助けなかったのは次は自分じゃないかと思ってしまうから」