“ALICE"
グレイは懐から出した黒い物体…銃を私に向けて、口角を上げる。
これはヤバイ…
だけど、足が動かない。
「ーーバイバイ」
グレイは引き金に力を込め、私はぎゅっと目を瞑る。
…しかし、なかなか痛みがこない。
銃声の音もしない。
私はそうっと目を開けると、グレイはニコニコしていた。
「嘘だよ」
「うそ…?」
「そう。嘘。女王のところに行ったのは本当だけど」
グレイがそう言うと、私は足の力が抜けその場に座り込む。