個人的事情につき“悪戯”禁止

「んっ…」





掴まれていたはずなのに、いつの間にか指先が絡んでいて。

時おり課長は指をほどいて私の手のひらを擽る。

その度に私の身体はピクン、と跳ねてしまう。

それを課長が気付かないはずはなく。





「…どうした?」

「な、んでもありません…」





わかってるくせに白々しく耳元でそう囁く課長を横目に。

虚勢をはるのが精一杯だった。





「…以上で終わります」





や…やっと、終わった…。

課長からの悪戯に耐え抜いた。

私、頑張った…。





会議は終わった、それなのに。

私の緊張感は解けない。

なぜなら。





「…課長」

「なんだ」

「会議、終わりました…」

「わかってる」





いや、わかってませんよね?

わかっているなら。

机の下で絡んでいる私の右手。

離してもらえませんか…?




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