個人的事情につき“悪戯”禁止

重役から上司から、先輩、後輩。

会議に参加していた人たちが次々と部屋を出ていくのに。

私の右手は課長の左手と絡まったままだ。

誰も気付いてないはず。

でも、誰かに気付かれるんじゃないかっていう焦り。

…課長、意地悪もいい加減にしてください…。





「…課長」

「なんだ」

「もう、誰もいません」

「そうだな」





課長と私は机の下で指を絡めたまま。

それなのに周りにはもう誰もいなくなっていた。





「…離して、ください。もう眠くないです、から…」

「離れてぇのか?」

「え…?」

「俺は離したくねぇけどな」





そう言った課長は、絡めた指をほどいたと思ったら。

スタスタと入り口に向かって歩いていった。




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