個人的事情につき“悪戯”禁止
ガチャン、と少し重い音が響く。
…鍵を、かけた?
なんのために?
私は立ち上がるとそのまま課長の姿を追った。
課長は反対の入り口に向かうと、同じようにガチャンと音を響かせた。
「…この後ここは使わねぇ。だから…」
「ちょっ…課長!?」
「もう少し、お前に触れさせろ」
「や、ちょっと…待っ…」
立ち上がったのが悪かったのか。
机のせいで後退りができない。
課長は私の腰の脇に左手をつくと。
空いている右手は、さっきと同じようにまた指先を絡め始めた。
絡めた指を課長は口元に持っていくと。
私の指先に唇を落とした。
「…ネイル、変えたんだな」
「気付かないかと、思ってました…」
「…似合ってる」
「あ、りがとうございます…」
指先へのキスは繰り返し落とされる。
その仕草が、たまらなくそそられて。
私の心拍数を上げた。