*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
そこには、見たこともないような真っ白な娘がいた。





沙霧に手を引かれ、洞窟の入り口でひっそりと佇んでいる。







「…………なんて、白い………」







透き通るように白い肌と、白絹のような長い髪。




あまりの美しさに釘付けになったように、玉梓は小さく呟いた。






唐突に見知らぬ人間二人に引き合わされた泡雪は、どう反応していいかも分からず、琥珀の瞳で疾風と玉梓をじっと観察していた。





沙霧はにこにこと嬉しそうに笑い、疾風のもとへと足を踏み出す。







「彼女は泡雪というんだ」






「…………え、あ、あぁ、………泡雪?」






驚きを隠しきれないまま、疾風は何度も瞬きをして沙霧を見つめ返す。





疾風と玉梓の動揺に気づくこともなく、沙霧は続けた。







「彼女をぜひ、ここに住まわせたいと思っているんだが、いいだろうか」






「…………え?


あ、まぁ、そりゃ、いいけどな………ここは、住みたいという者は誰でも住むことができる場所なんだから」






「まさしく、来るもの拒まず、だな。


さすがだよ疾風………お前は本当に器が大きいなぁ」






「………それは、どうも」









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