*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
驚いて見つめていると、沙霧は、さらに驚くべきことに気がついた。
ーーーぼんやりと光を放つ少女の輪郭に触れた雪片が、空中ですぅっと溶けるように消えていくのだ。
(…………どういう、ことだ)
風に掻き乱されている純白の長髪も、仄白く発光している。
目の前の幻想的な光景に、沙霧は言葉もなく見蕩れた。
いつの間にか、吹き募る風の音さえ、聴こえなくなっていた。
そのとき。
少女の髪の色が、根もとのほうから、滲み出すようにじわり、じわりと変わりはじめた。
世にも稀なる、鮮やかな紅緋色(あけひいろ)――――――。
ーーーぼんやりと光を放つ少女の輪郭に触れた雪片が、空中ですぅっと溶けるように消えていくのだ。
(…………どういう、ことだ)
風に掻き乱されている純白の長髪も、仄白く発光している。
目の前の幻想的な光景に、沙霧は言葉もなく見蕩れた。
いつの間にか、吹き募る風の音さえ、聴こえなくなっていた。
そのとき。
少女の髪の色が、根もとのほうから、滲み出すようにじわり、じわりと変わりはじめた。
世にも稀なる、鮮やかな紅緋色(あけひいろ)――――――。