*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
沙霧は、ぽかんを口を開いた。
その口の中に、いくつもの雪のひとひらが飛び込んできたが、それに構うこともできないほど、沙霧は呆然としていた。
薄縹(うすはなだ)色に沈んだ、雪曇りの空。
とめどなく舞い落ちて、視界を白く塗りこめる細雪(ささめゆき)。
黒っぽい細枝にたっぷりと雪化粧をした樹々。
そして―――――白無垢の少女。
雪に溶けそうな純白の容姿。
燃え上がる篝火のような緋色の長髪。
雪風に乱れる千筋(ちすじ)の髪の奥、白い相貌の中にぽっかりと浮かぶ、琥珀色の瞳。
寒さも、冷たさも、痛みも、死への恐怖も。
すべてを忘れて、沙霧は恍惚とした表情を浮かべていた。
その口の中に、いくつもの雪のひとひらが飛び込んできたが、それに構うこともできないほど、沙霧は呆然としていた。
薄縹(うすはなだ)色に沈んだ、雪曇りの空。
とめどなく舞い落ちて、視界を白く塗りこめる細雪(ささめゆき)。
黒っぽい細枝にたっぷりと雪化粧をした樹々。
そして―――――白無垢の少女。
雪に溶けそうな純白の容姿。
燃え上がる篝火のような緋色の長髪。
雪風に乱れる千筋(ちすじ)の髪の奥、白い相貌の中にぽっかりと浮かぶ、琥珀色の瞳。
寒さも、冷たさも、痛みも、死への恐怖も。
すべてを忘れて、沙霧は恍惚とした表情を浮かべていた。