*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語
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疾風たちが雪原に辿り着いたとき、すでに全ては終わってしまっていた。
そこには、降りしきる雪の中、白に埋れている沙霧と泡雪の骸だけが残っていた。
なぜ、もう少し、あと半刻でも早く来られなかったのか。
なぜ、二人を救えなかったのか。
疾風は後悔に身を焦がした。
涙も出なかった。
血が滲むほどに唇を噛み締めて、疾風は雪を払いのけた。
二人の身体は、すでに氷のように冷たくなっていた。
仲間のもとへと連れ帰ってやりたかったが、きつく抱きしめ合いながら硬くなっている二人を見ると、引き離すことができなかった。
「………このままにしておいてやろう」
疾風が呟くと、仲間たちは顔を歪めて頷いた。
重い足取りで、絶望感と無力感に苛まれながら、疾風は村へと引き返した。
その途中で。
「…………あれは、なんだ?」
視界の端に灯火を見たような気がして、疾風は不意に足をとめた。