*華月譚*雪ノ章 若宮と白狐の恋物語







泡雪は数日間、身動きがとれなかった。




人ならぬ力を使って沙霧を救い出し、その傷まで癒したため、体力を消耗しきっていた。





最初の晩で吹雪はやみ、それ以降は快晴だった。




沙霧は外に出て、雪を掬ってきては、泡雪に食べさせた。






雪に覆われた世界は食料になりそうなものは何ひとつなかったが、沙霧は白縫山に来る前に保存食だけは準備していたので何とか助かった。






沙霧はもともとあまり食べないほうだったし、泡雪はそれにも増して食が細かった。






干し肉や乾飯(かれいい)、塩漬けにした梅の実や魚など、少ない食料を二人で分け合い、数日が経った。







< 38 / 400 >

この作品をシェア

pagetop