気まぐれだけど、文句ある?
むにっ。
吉田君のほっぺを持ってのばした。

変な顔。可愛い。

思わず笑っていると、吉田君は顔を必死に逸らそうとした。

私はそれを阻止する。



ガシッ。と吉田君が私の腕を掴んだ。

睨むような泣きそうな、そんな目。
だけど、ほっぺが伸びているせいか、やっぱり変な顔だ。



「吉田くん……?」

笑いをこらえながら名前を呼んでみる。


「琴音。」





吉田君が初めて私の下の名前を呼んだ。
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