気まぐれだけど、文句ある?
「よし、じゃあさっそく行こう!」

テンション高めで言う私とは裏腹に、何だか不安そうな面持ちの吉田君。

「なぁ。今日俺の家、誰もいないんだけど。」

「へぇ、そうなの?私の家もだよ。」

「だから、何ていうかさ。」

そこまで言って吉田君は何故か口ごもった。
いったいどうしたんだろう。

私が全く理解していないことに気付いたのか諦めたように

「まぁいいや。ついて来て。」

そう言いながら歩き出した。

男の子の家とか初めてだから楽しみ。
どんな感じなんだろう。


私はそんなことを考えながら大人しく後ろをついていく。


「はぁ。今日1日我慢できんのかな、俺。」



吉田君がそんなことを呟いているなんて、全く気付かずに。
< 91 / 121 >

この作品をシェア

pagetop