もしも君と恋ができたら
緊張して、夜はなかなか寝付けなかった。
朝も早く目が覚めて、どうしようもなくそわそわと家中をうろつきまわって、
昼近くにインターホンが鳴ったときは、呼吸が止まりそうになった。
お母さんが出てくれるのを期待したけど家事に忙しそうで、それにさっさと出ないのも怪しまれるかもしれないし……
と一瞬の間に頭の中で考えをめぐらせ、めぐらせた挙句に覚悟を決めて玄関に向かった。
重いドアを、ゆっくりと開く。
爽やかな風を感じるとともに、まず見えたのは白いシャツ。
それから、色素の薄い柔らかな髪と、わたしを見つめる涼やかな瞳が、わたしの目に飛び込んできて―――
どうしようもなく、胸が高鳴るのを感じた。
「……よぉ」
「……あ、しょう、くん」
片手を軽く挙げて笑ったしょうくんに、用意していた言葉も忘れて、ただ喉の奥から小さな声を出すことしかできなかった。