もしも君と恋ができたら


途中で休憩のために寄ったサービスエリアで、しょうくんはコーヒーを買った。


砂糖もミルクもいれない、ブラックコーヒー。

わたしはミルクティーを手に、コーヒーを飲むしょうくんをこっそり眺めた。



しょうくんは変わった。

昔のままのしょうくんじゃない。


あの頃は苦いものと辛いものがだめだったのに、今はもうすっかり平気みたいだ。


大人になったんだから当然なのかもしれないけれど、わたしの知っているしょうくんがどんどん消え去っていくみたいで少しさみしい。


小さい頃のしょうくんのことはなんでも知っているのに、今のしょうくんのことは何も知らない。



わたし、しょうくんのこと、何も知らないんだ。



「あれ、省吾? ぐうぜーん! どこ行くの?」


飲み終えた紙コップをゴミ箱に捨てようとしたとき、スタイルのいい女の人が笑顔で近づいてきた。


「美香」


しょうくんが驚いた顔をその人に向ける。

美香さんというらしい。


しょうくんの、知り合い……?



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