幼なじみにわたしの生死がかかってる件
※背後霊ではありません
わたしたちが通う西高はえっちらおっちら自転車を漕ぐこと15分の距離にある。
なかなかだよね。大変だよね。スイが。
「おいてめえコウ。」
『あー?』
「軽すぎんだよこのガリ子ガリキョーリュー!絶滅すんのか、あ?」
びゅおーっと凄い勢いで自転車を漕ぎながら、スイは叫んでいる。
わたしはスイの背中に合法的にしがみつけるこの時間が大好きなのによー。邪魔するのは不粋ってもんなのだー。
だからわたしはスイのお叱りを華麗にスルーして、この時間を満喫してやることにしたのだ。
けっけっけ。コウさんてば欲望に忠実な女なのですよ。
『くんかくんか』
「わざわざ効果音つけて人を嗅ぐな。」
『すーすー』
「吸うな。」
『…』
「いや吐け、呼吸しろ。死ぬぞ?猿みたいに顔真っ赤にしやがって。」
げほげほ。
肺にスイの匂い貯めこんでたらむせちまったぜ。