幼なじみにわたしの生死がかかってる件
すぐ隣にある校庭から体育をする生徒たちの声が聞こえる。
ワーワー朝から元気いっぱいなのだ。そうだよね、若人は元気に生きなくては。
そして、そんな音をバックミュージックにして、高校の駐輪所についたわたしたちはまたちょっとした揉め事をしていた。
『だーかーらあ。自分のペースでゆっくり教室に向かうって言ってるじゃんね。』
「信用できねえって言ってんだ。」
『スイってば歩くの速いんだもんよ。』
「コウの短足と一緒にされたら困る。」
否定できないのが悔しい。仕方ないから開き直ってやることにした。
『ええええそうでしょうともさ!身長185センチ越えの巨人からしたら160センチのわたしなんて地を這うようなものでしょうよ!』
「そこまで言ってねえ。」
『でもね!わたしたちだって短い足をせかせか動かして必死に歩いてるんだからこの男前型巨人め!』
「‘たち’ってなんだ‘たち’って。いつからお前は160センチの代表になったんだ。てめえの短足に世の中の160センチの人間を巻き込むんじゃねえぞ。」
謝れ、とデコピンなんてかわいらしい言葉では到底表現しようのない強烈な一撃をお見舞いされた。