幼なじみにわたしの生死がかかってる件
「コレなんかに一々あいつの名前を持ち出したらミウが不憫だとは思わないんですか。コレなんかに。」
大事なことなので二回言いました。ってか。
強調しやがったなコノヤロウ。
前を向いたまま後ろに立ってるスイの太ももをつねってやったら凄まじい力で脳天をスパコンと叩かれた。
気づけば教室には笑いが広がっていた。
氷河時代が終わりを告げ、春がやってきていた。
‘佐原ミウの妹’への視線が変わったわけじゃない。好奇の目が変わったわけじゃない。
だけどわたしの心にも春が来ていた。
スイは先生に抵抗し、最後には普段通りにわたしを扱うことで、‘コウ’という名前と、スイに一方的に守られることで傷つくわたしのプライドの両方を救ってくれたからだ。