続.不器用恋愛
* * *

遅めの朝食を黙々と口に運ぶ男女の朝はよく晴れた天気に反して重い。


「…なあ」


僅かな疑問を込めた啓吾の低い声に、


「なに?」



返した返事は相変わらずで、これ以上はどう取り繕っても可愛くなれない。



「疑問文はふたつある」


啓吾はトーストを口に運びながら不機嫌に口調を変える。



「だから、なに」



あたしの口調が全く淡白で、語尾が疑問符じゃない事にも啓吾は特に気にも留めず言葉を続けた。



「ひとつめ。俺の朝食これだけ?俺朝は和食派なんだけど?」


そんな事知ってるけど。この際、どうだっていい。



「まあ、それは別にいい。ふたつめ、これ重要。頬が痛い。目覚めは甘いキスとかそんな思考がおまえにはないのか?」



形良い眉毛を寄せてくっきりした二重瞼の形良い瞳はあたしを不機嫌に射抜いた。



< 3 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop