続.不器用恋愛

…啓吾ってほんとにエロエロだ。この外見なら全くイヤラシクないのが腹立たしい。

だけど、可愛い、とかやめて欲しい。


きっとあたしに似合う言葉じゃない。それにまるで知らない自分を突きつけられる様で、のたうちまわりたくなるくらい恥ずかしい。
啓吾からしたら挨拶する位軽い言葉なんだろう、けど。だから、余計に。
こいつが、いかにモテる人種で、その無差別な色気に何人の女がヤられてるかなんて考えなくても分かるのに。



あたしだって、別に経験がない訳じゃない。だけど、啓吾みたいに抱かれた事、なんてない。
あんなに、身体中熱くなるなんて、初めてで。


その手慣れた全てに、過去の女の影を感じて妙に悔しくなる、なんて口が避けても言えないけど。
何度も一緒に迎えた朝、未だに啓吾がベッドの横にいるのは緊張するなんて笑えるでしょ。




軽く吸っただけの煙草の火を消して、食器を洗う。
手元には、失敗した味噌汁。異常に甘い卵焼き。どーやればこんな味になるのかさっぱり分からない。



あたしなんて、啓吾が好きな和食さえ満足に作れない。


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